怒る人が怖い。
たとえ自分に向けられていなくても、誰かが怒られているのを見るだけで、胸が締め付けられる。
自分を責めたくはないれど、弱くて情けなくて…なんで私ってこうなんだろう。
誰にもわかってもらえないこの感情を自分で癒したい。
そんなあなたへ
この記事は、怒ってる人に対しての拒否反応を自問自答しながら葛藤している人が、感情を整理するための内観のヒントを書いています。ゆっくりと心の中に寄り添いながら読み進めてくださいね。
「怒る人」にまつわる怖い記憶
怒っている人を目にして感じる、あのザワザワ、ビクビクする感じ。
多くの場合、過去の嫌な記憶と結びついていることが多いのではないでしょうか。あなたの感覚はどうですか?
過去の記憶と結びついている例
- 怒鳴られたり、威圧的な態度で押さえつけられる怖さ
- 家族や大切な人が怒られているのを黙って見守るしかなかった苦しみ
- 理不尽な怒りをぶつけられる苛立ち、呆れ、ぐったり感
- 太刀打ちできず、じっと耐えるしかない苦しみ
- 突然怒られてビクッと跳ね上がる体感
もしも、過去の記憶と紐づいて今の自分を苦しめているのなら。
苦しみをケアしつつ、「過去の記憶」とのかかわり方を微調整することが出来ます。それが結果的に苦しい感情(怖さ)からの解放につながることも多いです。
恐怖にのまれないために
恐怖にのまれないために意識したいのは、消そう、消そうと追い立てない。「辛さが和らぐ状態」を作ることが大切です。
というのも。
これは睡眠に例えるとわかりやすいかも。寝たいと思っても眠れないとき、寝なきゃ寝なきゃと考えるほど目がさえてしまう経験、ありませんか?しかし、入眠しやすい状態が整えば、自然と眠くなる。
嫌な記憶も苦しい感情も、消そうとしても消えてくれませんよね。むしろ、消そうと考えるほど膨れ上がる。「和らぐ状態」が整うことで楽になります。
では、「和らぐ状態」って?
苦しい感情が和らぐには
「怒ってる人が怖い」この時の苦しさを分解してみます。「そうそう、この感覚!」と把握してみましょう。
たとえば、「圧倒される、あの感覚が苦しい。」「ちぎれるような、あの感覚が怖い」「足がすくむ、あの感覚が怖すぎる」など。
「こんなニュアンスで怖い」と把握する、これが苦しい感情が和らぐ状態を作るということです。
ポイント1 「不快」と戦わない
私たちは、楽しく嬉しい感情なら心地よく味わえます。でも苦しい感情はどうしても避けたくなります。蓋をしてみたり、ないことにしたりして、なんとかバランスを取ろうとしますよね。
でも、苦しさをやわらげるには、苦しい感情と戦わない。むしろ「そうだよね」「わかってるよ」と存在を受け止めます。
ポイント2 意識の矢印を変える
「怖い」でいっぱいになっている時の感覚と、「怖かったなぁ」と怖さを観察している時の感覚の違い、わかりますか?
怖くて仕方がない時は、怒ってる人に意識を向けて「怖い」が自分の中から発生し、怖さでいっぱいになってしまいます。
意識の矢印を優しく自分の内側に向けて、怖がってる私を観察します。
こうして、自分の状態を観察すると
感情との距離感が生まれます。
の位置に注目
ポイント3 心のプロセスを理解する
過去の記憶が影響している自覚がある場合は、辛さを全体像として理解することも大切です。
自分に対しての気づきが深まり、心の傷が癒されます。
【補足】
過去の感情を振り返ると、当時の嫌な感覚がふつふつとよみがえり気分が悪くなってしまう場合もあります。これは、過去の体験が過去にならないまま、感情を再体験している状態ですので、振り返りは一旦ストップしましょう。苦しくなる場合の感情整理は個別の状況に合わせてサポートしています。
観察する力が、安心感を生む
自分ではどうしようもない大きな感情から解放されるには、安心を感じる力が必要です。
- 「大丈夫かもしれない」と不安が和らぐ
- リラックスする感覚
この安心を感じる力は、自分でも少しずつ増やすことが出来るので安心してくださいね。
実際に、「怒り」「恐怖」を内観したクライアントさんのリアルな体感プロセスを一部を紹介します。
内観変化と気づき
まずは、「怒り」や「恐怖」を掘り下げる前に、内観プロセスをスタートする準備が重要です。
その一つは、予備知識。抱えている辛さを「心の仕組み」として理解を深めます。自分に寄り添いケアしていく体感をサポートさせていただきました。
微細な心の動きに合わせながら、一緒に少しずつ恐れや緊張感などを観察し、沢山の気づきがありました。
納得と安心の実感
たとえば、常に身構えている感覚。あまりに普通になっていて気に留めてない。でも、目を向けてみると思っていた以上に頑張っていたのだと実感がわき、心の中から安心がわいてくる体験が増えました。
痛みに気づき、理解者として寄り添う
- 自分に危害が及ぶ警戒心
- 相手を変えようがない無力感と、その温度感
- 常に身構えていた感覚、その背景にある複数の感情、その度合い
- 感情のスイッチ。その詳細 など
深い安心感に至る理由は、表面的な把握だけでなく、絶妙なニュアンスや自分ならではの温度感まで触れられたからです。
特に「安心という感覚がわからない。わからないから不安だったんだ」という気づきによって、癒しがぐんと進みました。
変化したこと
- 心の細部まで癒せる安心感、納得感を感じることができた。
- 自己理解が深まり、何を望んでいたか気づいた。
- 嬉しい、温かい感覚がわいた(涙)。
- どっしり感とした自分感(強さ、優しさ、愛のような感覚)に気づいた。
- 偉そうにするんじゃなくて、折れない位のどっしり感、肯定感。「自分で在る」感覚を発動していい(という気持ちが芽生えた)。
- 自分にワクワクした。
後日談
心の中に安心感を育てながら、穏やかに立ち返るスペースができました。
不機嫌な人や怒っている人に対しても、優しく見守る気持ちを持てるようになり、自分の心が穏やかに包まれていくことが増えています。
また、日常で心が揺れるときにも、心を少し引いて見つめられる余裕が生まれました。過去の不安や恐怖が少しずつ癒され、内側に安心が育つと、自分らしい才能や感性に気づきやすくなり、楽しい気持ちで自己表現の幅も広がってます。
(ご本人に掲載許可を頂いたご感想です。内容をまとめてご紹介しています)
【補足】
内観による気づきの手ごたえや変化は、個人差があり、その時々で異なります。ご自身の感覚を大切にしましょう。
怒ってる人を見るのが怖い。
そう感じる自分を恥ずかしいと感じることもあるかもしれませんが、ぜひ良い悪いを一旦横に置いて「ネガティブな感情」に温かいまなざしで寄り添ってみてください。
「寄り添い」とか「自分と向き合う」というと抽象的でわかりにくい時もあります。そのときは、一人で抱え込まないことも大切です。また、「やってみたけどよくわからない」と感じるときは、マンツーマンで「実感」が伴う内観をする方が早いかもしれません。ご興味ある方はプログラム内容をご覧ください。
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