昨今、トラウマやフラッシュバックに関するエピソードを耳にする機会が増えました。トラウマ、フラッシュバックと聞くと自分には無縁の症状だと感じる人も多いと思いますが、この記事ではトラウマやフラッシュバックは一部の人だけが深刻に抱えているものではなく、実は多くの人に当てはまる身近な心身状態である、というおはなしを書いています。
※一般的な理解と認識を指しており、医学的な診断を指しているものではありません。
フラッシュバックは、過去のトラウマやストレスが現れ、感情的にも身体的にも苦痛を引き起こす現象です。その度合いには個人差があり、トラウマはほとんどの人が持っている心身状態だとも言われています。
例えば、
【情緒的共感を得らず愛着不全で育った場合の例】
●軽いフラッシュバック:
批判的な上司や目上の人物との対話中に、親の厳しい態度に似たトーンや態度を感じ、感情的になったりプチパニックに陥る
●重めのフラッシュバック
差別的なシーンや批判されている状況を見たり聞いたりした際に、嫌な体験を今自分が再体験しているような感覚に陥り、感情の爆発やパニック・混乱に陥り制御不能を体験する
【厳しい親に育てられた場合の例】
●軽度のフラッシュバック
ルールや要望に従わなければならない状況に遭遇したときに、親の厳しいルールや要求に似た制約を感覚的に再生され、強烈な不安に襲われ取り乱す
●重度のフラッシュバック
暴力的、攻撃的な怒りや感情的行動を見たり感じたりすると、感情が激しく乱されパニック症状・混乱に陥り制御不能を体験する。
これらは、単なる過去の嫌な記憶を思い出して嫌な気分になるのとは質が違う体感があります。特徴は、過去の体験に関連する感情感覚が強烈に再現され、その出来事を実際に今体験しているかのような感覚です。
その瞬間は回避行動をとるような余裕すらなくただその状態が鎮静化するのを持つように耐えたり、またそうなったらどうしようという不安もわいてしまいますよね。
たまに「生きてれば辛いことがあるのは当然、同じことを体験をしても、大丈夫な人もいる」といった表現で過去の辛さを抱えている状態を批判的に解釈される場合もあります。そうした解釈は自分の状態を自覚している当事者の傷をえぐる可能性があると感じます。
他人の考えはそれぞれですが、少なくとも心を痛めているご本人は自分を責めずに、むしろ自分の心と身体が頑張っていることをわかってあげて欲しいと願っています。
この記事の内容も、もちろん全ての人に当てはまる内容ではありません。しかし、トラウマやフラッシュバックを、誰もが身近な心身状態であると理解したいという願いで書いています。
痛みや悩みの深度は他人とは比較不能であり当事者の心身のみぞ知るもの。だからこそ深い理解と適切な対応が必要だという事実を心に留めることが大切ですよね。また、トラウマやフラッシュバックに対しての過剰な悲観・同情・意味づけをせずにフラットな理解が進むことが偏見が減り自分にも他人にも温かい寄り添いが増える気がします。
※トラウマは心のブレーキを外すだけでなく、身体感覚や神経レベルでの安全感・安心感を取り戻すことが大切です。当店の内観セラピーはいわゆる一般的な内観・内観療法とは異なり、心身の状態も含めて取り組む内容ですが、必要に応じて専門機関をご紹介する可能性もあります。また、ご不安な場合は医療機関やトラウマ専門機関への相談も検討してみてくださいね。
