親を許せない。そんな自分に開き直れたらラクだけど、心から納得できるかと言えば、そうではない。
これでいいのかな、でもどうしようもないしな。本当はどうしたいんだろう、自分の気持ちがわからなくなる
この記事では「親を許せない自分を許せない」辛さを体験している方が「許す」という選択が自分を追い込むことなく、自分に納得安心し「この私でいいんだ」と感じられる生き方へのプロセスをご紹介します。
そのまえに、プロセスを進むために知っておきたい心の向き合い方をお話させてください。
感情の扱い方で生きづらさが減る
親に対しての怒りや憎しみが、なかなか消化できないというのは本当に辛いもの。このようなお悩みを抱えている方の中には、「昔は親への不満も許せていたのに…」と自分の変化に戸惑う人も多いのですが、その怒りが「表に出てきてくれた」ことが軽やかな人生に移行する上で重要なポイントです。感情に飲み込まれてしまうと疲れてしまいますが、自分の意志で取り扱えるようになると生きづらさが激減します。
心の中には何種類もの感情があって、今親を心底憎んでいるとしても心のどこかではその憎しみを穏やかにしたいと願っている(だからこそスッキリしない)自分がいたり、親にも事情があったのだと許してあげたい感情があったとしても、蓄積した感情が怒りに変わって「自分が味わった苦しみを親に見せつけてねじ伏せてやりたい」と思うほどの恨み感情が湧く、ということもあります。(感情の出方は人それぞれ異なります)
「安心」と「許し」はセット
私達は大人になると、理性で感情のバランスを取りながら生活しています。とはいえ人間なので、当然そのバランスを保つにも限界はつきものです。
「親を許せない自分」を許せない時は、「許す」か「許さないか」の狭間を行ったり来たりして「気持ちの決着をつけなければ幸せになれない」というような焦りや不安があるかもしれません。実際に、「許せば幸せになれる」「感謝すれば幸せになれる」というような結果論や、「親に本音をぶつければ心が強くなる」と勧める方法も存在します。
けれど、私が出会うお客様には、そういった結果論や方法論など目に見える形だけを着目するのではなくて、それ以前の背景を理解して痛みの根っこを着実に癒していく内観をお伝えしたいのです。
人間にとって大きなテーマでもある「ゆるし」とは、1と1を足したら2になったというような規則的なものでは成立しません。揺れ動く辛さから自分を救うために、はずは「親を許すか許さないかの決断を迫られるまで、既に辛く長い道のりを歩いてきたのだ」と自覚すること。
その道のりの中で無自覚に形成された「安心させてもらえない」「安全じゃない」「許してもらえない」などの反応形体がそもそものベースにある(ことが多い)ので、その場合は着実な安心感の「土台」を取り戻すのが先です。
心の安心と安全は元々持っているあなたの力強さで、その自然体な力強さを引き出し育てるのが内観です。
自分を許せない辛さを抜け出す
癒しのプロセスは人によって様々です。ここでは大まかに書いていますが、一つの行為に大きな結果を求めず変化にはプロセスがあることを理解しながら進んで行きましょう。
【変化のプロセス】
①辛い感情が湧いたとき対処できるようになる
感情的な状態を俯瞰する(※内観講座ではエネルギー浄化のやり方もお伝えします)
②自己矛盾の状態から抜け出す
手放したいのに消えてくれない感情や思考、安心したくても安心感がわからない等「ラクになりたいけど絶対にそうはなれない」「絶対に安心するわけがない」という状態から解放される。
③安心感を育て続ける
日常的な気分はラクになったけど、いざって時に自分の気持ちがわからなくなる、前に踏み出せなくなる感覚を理解して、不安感・緊張感・恐怖感がゆるむ感覚を育てていく
④愛される勇気を育てる
他人とのかかわりの中で安心する・大切にされる・尊重される・愛される感覚を育てる
1~4を行ったり来たりして、どっしりと安心できる土台を構築しながら自分を生きる喜びを広げていきましょう。強い感情は本能的に自分一人で直視することが難しいため、サポートを受けながら感覚のコツをつかんで進めることをお勧めします。その上で、セルフで内観していく感覚を育てることも重要です。