このストーリー(フィクション)を読みながら、あなたの中に内観のヒントが浮かぶかもしれません。登場人物は仲良しの4人。
人間の本音と建て前、本音のホンネ、コミュニケーションスタイル・・・など、温かいまなざしで見てあげてくだい。
「善意と解釈によるすれ違い」
4人の登場人物

ナナ

ミホ

タカコ

ルミ
1 ナナの提案

ナナ
セレクトショップを営むナナは、しばらく前から旅行を計画していた。
しかし、旅行中店を無人にするわけにはいかない。調味料やハーブは気温や湿度管理が必要だし、少量とはいえ食品も扱っている。予約した商品を受け取りに来るお客様への対応もある。
普段は管理サービスに依頼しているが、費用が高額で負担が大きいがネックになっていた。
店の使いようによっては何か企画して良いし、誰か使ってくれないかな・・・でも、お客さんが来ちゃったら対応はして欲しいんだよな・・・・
そこで、親しい友人であるミホに、ある提案を持ちかけた。
旅行中、このお店を自由に使ってみない?ミホなら活用できるんじゃないかな?私も他の人に貸すより安心だし、使ってくれたら嬉しいんだけど、どう?

ミホ
ナナは無邪気な笑顔で話すが、ミホは状況を察した。
ミホは、普段からナナの愚痴や相談に乗ることが多く、店の管理費が大変なことや、安心して旅行にも行けないと漏らしていたことを思い出した。
ナナの立場に立てば気持ちがわからないでもない。おおらかそうに見えるが、ナナは几帳面なところがある。
店を他人にあずけるのは気が重いのかな。かといって業者に依頼すると費用が高くて負担なんだろうな。
細かい事情を知っている私が引き受ければ、ナナも気持ちラクに旅行いけるんだよな。
でも・・・そう話してくれれば快く引き受けるのに・・・。「やってあげてる」みたいな体裁を作ろうとするのは違和感を感じる。
悪気はないだろうし、お願いするのはバツが悪が悪いのかもな・・・
わかっておきながら指摘するのも心が狭いような気がして、快く提案を受け入れることにした。

分かったよ。その間、使わせてもらうね。旅行楽しんできてね!
ナナが安心するなら、それでいい。そう思ったのだった。
2 協力者の登場

タカコ
タカコはナナの元同僚で3人は長い付き合いだ。
タカコはミホと違ってズバッと正論を言い放つタイプ。世話焼きで面倒見がいいが、相手が言い返せないことを突き付けるような厳しさもある。
ナナの旅行中の店をミホが管理するーーその話を聞いた共通の友人タカコは、ミホの負担をおもんばかった。
なるほどね・・・でも、ミホ大変じゃないのかな?ミホだって忙しいのに、負担だろうな・・・

私も手伝うよ。せっかくだから、店をちょっと盛り上げてみようよ!ナナも喜ぶだろうしさ☆
さらに、もう一人の友人ルミも協力を申し出る。

ルミ
ルミはナナやタカコの後輩。二人を介してミホとも顔なじみの仲だ。正義感が強く義理堅いが、深く考えずに行動することがあり、少々そそっかしい一面もある。
楽しそうですね!ナナさんにはいつもお世話になってるし、私も手伝っていいですか?ディスプレイとかもお手伝いできます☆
ルミの申し出も、ミホはありがたかった。
こうして人が集まるのもナナの人柄あってのこと。ナナも喜ぶだろうなぁ♪ 協力してくれる2人のおかげで心強い。よかったー!
こうして三人で店を任されることが決まった。
3 出発と違和感
旅行の出発当日、ナナは慌ただしく荷造りをしながら、ミホに注意事項を伝えた。
これお願いね。それから、ついでに○○も頼みたいな。店を貸してあげるんだし、それくらいやってくれるよね?
冗談交じりのその言葉に、ミホは再びモヤッとした。
なんで普通に頼んでくれないんだろう…?私の考え過ぎなのかな・・・私の親切心は必要なかったのかもしれない・・・
ナナの「当然感」に心が重くなった。
4 衝突と葛藤
ナナお見送り、タカコがミホに話しかけた。
あの言い方、ちょっと図々しくない?自分が困ってることは何も言わずに、まるで当り前みたいな顔して。
悪気ないのはわかるけど、人にもの頼む態度じゃないわ~
タカコの言葉に、ミホは「この違和感は自分だけじゃないんだ」と少しほっとした。
でも、引き受けたのは自分だし・・・。嫌なら断るべきだったのだから。タカコも、状況を察してくれてるんだろうな。
ミホはタカコの優しさに感謝した。でも・・・その一方では焦りもあった。
タカコの言い方💦ルミが聞いたら誤解を招きかねないな💦
そこにルミが入ってきた。
タカコさん、今聞こえてたんだけど、なんでそんな意地悪なこと言うの?ナナさんは店を無償で貸してくれてるんだよ?感謝すべきじゃない?こんなに立派なお店を自由に使わせてくれるんだよ。ナナさんは私たちを信頼してくれてるのに失礼だよ
タカコはムッとして反論した。
私が意地悪なの?そういう話じゃないでしょ?無償かどうかの問題じゃない。私だってナナを悪くは思ってないのに、何なのその言い方?!
言い方が酷いのはタカコさんでしょ?ミホさんはそんな言い方しないし、タカコさんだけだよ、そんな意地悪なこと言うのは!
タカコは怒りに震えている。
その心情をミホは痛いほどよくわかった。
タカコはこれまで、ルミの言動を何度もフォローしてきた。ルミに「意地悪」と言われるのは心外だろう。
状況を鎮火できず不安が膨らむルミ。今にも何か言い放ちそうなタカコなを見て、とっさに言葉をはさんだ。
人に言われた何気ない一言にモヤっとしても、相手の気持ちを考えて我慢してしまったり
自分は間違っていないと思って放った言葉が、知らず知らずのうちに相手を追い詰めてしまったり。
「心の中で思っていること」も、「それを表に出す態度」も、必ずしも本心や正解とは限らない。だからこそ、私たちはすれ違ったり、ぶつかり合ったりしてしまうのだと思います。
自分自身が当事者の時はなかなか気づくのが難しいけれど、そんな人間関係のリアルを、第3者の視点に立たせてくれてるのが、「テレビドラマ」。様々な心の景色を見せて教えてくれるます。たとえば…
「ここで素直になれば、誤解が生まれずに済んだのに!」「何でそこでそれ言っちゃうの?余計ややこしくなるじゃん!」「でも、仕方ないよね。この人にはこの人の事情があるんだもん…」気づけばまるで親戚のオバチャンみたいな気持ちで(笑)登場人物を応援している自分がいます。
あなたも、現実の人間関係でこんなふうに思った景観はありませんか?
- 「こう思うのが普通でしょ!」
- 「どうせ○○なんでしょ。」
- 「だって○○に決まってるもん。」
こうした「自分の主観」と「相手の主観」がぶつかり合って、その結果、腑に落ちないまま、「まぁ仕方ないよね」と無理やり納得したり…時には「冷静」という名前を貼りつけて、本当の気持ちを閉じ込めてしまうこともありますよね。
でも…本当は、ぶつかりたくてぶつかってるわけじゃない。そんなときこそ、内観のチャンスです。
- 「私は何に反応しているんだろう?」
- 「どうしてこれに、こんなに心が揺れるんだろう?」
- 「自分はどんな主観や決めつけを通してみてるだろう」
少しだけ自分の心を見つめ直してみると、案外、自分でも気づいていなかった柔らかい「本音」が顔を出してくれることがあります。本音を迎えにいく内観を日常に取り入れましょう。